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町の課題解決はサッカーと似ている!

このコラムは、「スポーツでの学びは社会に通づる」と考えている筆者が、筆者の感覚でスポーツで起きることを社会での出来事に捉えたり、社会の出来事をスポーツで捉えたりするコラムです。スポーツの価値が少しでも読者の皆様に伝わりましたら幸いです。

スポーツ探究科で学んだこと

私は高校時代、スポーツ探究科に所属していました。スポーツ探究科は心身を鍛え、スポーツを科学的、理論的に学ぶ(静岡県内唯一の)スポーツの専門学科です。この学校には体育館が2つあったり、人工芝サッカーグランド、野球場、50mプールがあるなど施設が充実していました。私自身は将来「プロサッカー選手になりたい」と思っていましたし、もし仮になれなかったとしても、将来体育の先生になりたいと考え、この高校に進学を決めました。

 スポーツ探究科では、理論や実践に加えてヨーロッパでの研修など、スポーツを多角的に学べました。それだけでなく、体育祭を企画・運営するなどの経験もできました。所属していたサッカー部では”自治”運営に力を入れており、メンバー選考と練習試合の調整、お金の管理以外は、基本的に生徒たちだけで運営する取り組みをしていました。

 私は”分析班”に所属し、チームの目標に対して、自分たちに何が足りていて、何が足りてないかを探るなどの調査・分析を担当しました。単にデータを扱っているだけではなく、例えば、選手たちのパス成功率データをもとに練習メニューを変えたり、トレーニング方法を工夫するなど、ほかの班と連携しながら運営をしていました。今振り返っても、こうした自治運営は面白い取り組みだと思います。

探究のプロセスはサッカーに似ている!

このほか、この学校が力を入れて取り組み始めていたのが「探究学習」でした。探究学習は町の抱える課題を発見し、解決する案を町に提案(プレゼン)するという授業です。クラス活動や部活動も面白かったのですが、私はこの探究学習が本当に楽しく、どんどんのめり込んでいきました。

そしてふと思ったのです。

”町の抱える課題を発見して解決するための方法を考えて実行する”

という探究の一連のプロセスは、

”チームの課題を発見して解決するための方法を考えて実行する”

というサッカーのプロセスと同じなのではないかと。

この探究学習はサッカー部の生徒も取り組んでいましたが、サッカー部の”自治”とは違い、主体的ではなく、指示を待つなど、受け身な姿勢の生徒が多かったように思います。

この違いは一体何なのか?

もし仮に、全国大会出場を目標に朝から晩まで練習し、自治を通して全身全霊サッカーと向き合うエネルギッシュな生徒たちが、この探究学習と同じような学びをサッカーから得るチャンスがあったら‥‥。卒業後、仮にサッカーを辞めても、自分の叶えたい姿に向かって突き進むことができる人材になるのではないだろうか…

そう考えると私はワクワクしました。

そのような学びを伝えることができる「先生」になりたいと考え、教育大学への進学を決めました。その後、学生時代を通じて、私の中で、”スポーツ(好き)を入り口にした学び”の必要性を何度も感じてきましたし、さらに「スポーツと社会は繋がっている」との確信も生まれました。

では、スポーツと社会がどのようにリンクしているのか――。次回はそのお話しをしたいと思います。

この連載について

このコラムは、「スポーツでの学びは社会に通づる」と考えている筆者が、筆者の感覚でスポーツで起きることを社会での出来事に捉えたり、社会の出来事をスポーツで捉えたりするコラムです。スポーツの価値が少しでも読者の皆様に伝わりましたら幸いです。

著者紹介

(越膳 慧太)

静岡県出身、北海道教育大学釧路校に進学。地域とともにある学校という視点で教育を学ぶ。授業を通して出会った浦幌町に飛び込むことが、自分の想いを形にするために必要な経験だと考え、大学卒業後、地域おこし協力隊として十勝うらほろ樂舎に勤める。現在はワークキャンプ事業と高校から感じていたスポーツを入り口に子どもたちの未来をよりよくするためのスポーツプロジェクトにチャレンジ中。

意外な一面
地元沼津市で活動しているお笑い手品芸人「おのちゃんマン」の一番弟子。人を笑顔にすることなどは師匠からいただいた可能性が大きい。
「おのちゃんマン」は会社の社長の傍ら芸人をしており、「笑い療法士2級」を持ち、保育園からイベント、結婚式福祉施設、被災地でも“手品“を通し、笑顔を届けている。

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