リポートリポート

2023年3月 全国の大学生たちが浦幌町を学びにやって来る

人口減少?なのに20代の転入者が増えている町

食糧自給率が約3000%、人口約4300人の十勝・浦幌町。日本全体の人口減少の流れに例に漏れず、浦幌町でも今もなお人口減少は進んでいる。

そんな浦幌町では、唯一の高校(北海道浦幌高等学校)が2010年に廃校になった。現在は、高校も大学もなく、高校進学をするタイミングで町外に離れる人も多い。

しかし、2019~2021年には浦幌の20代の転出者よりも転入者の方が34名多い「転入超過」の状態だったことが明らかになった。その背景の一つとして、「うらほろスタイル」という子どもや若者など「次世代に繋ぐ」ことを地域一体となって2007年より進めている活動があると考えられている。学校と地域と行政が協力し、地域に根ざし多様な人と関わりながら子どもたちが学ぶ活動を長年すすめた結果、一旦は町の外に出たものの、「地元に帰りたい・関わりたい」「自分のやりたいことをこの町で実現させたい」という強い思いを抱く若者が増えてきている。

それだけでなく、魅力的なそうした活動に関わろうと、外から移住してくる若者などのIターン者が集い始めている。最近では、大手企業や省庁から移住する人や、町内で起業・継業する人も増えている。

かくいう私自身も、浦幌町の「次世代に繋ぐ」という姿勢に惚れて札幌市の大学を卒業して新卒で引っ越してきた移住4年生の26歳である。日々同世代の人と関わりながら、地元の人の応援や支えを受けて過ごしている。

そうした関わりの中には町内在住の人だけでなく、在住はしていないが町外から関わる人も多い。例えば、昨年(2022年)8月のある日には、私が知っているだけでも、4大学からそれぞれ別の案件で、学生が浦幌に学びに来ていたこともあった。大学のない浦幌町でそうした景色が当たり前のように見えるようになってきているのである。

3月から新しい企画を実施 全国から大学生が集う

若者が集い始める町。そんな浦幌町を舞台に今後、昼は農業、夜は子どもや若者などの次世代に繋ぐことを意識して活動をする農業者や経営者らと対話をする、大学生を対象とした「北海道十勝うらほろアグリダイブプログラム」を行う予定だ。

このプログラムは、農作業や多様な人との対話を通して、先行き不透明な時代に「自分がどう生きるか」の指針となる自分軸を考えられることが特徴だ。2000年から北海道十勝で開催しており、これまで累計1600人超が参加している。
このプログラムを今回浦幌町で初開催し、これまで浦幌町で培われてきた「次世代に繋ぐ」活動や考えに大学生が触れ、未来をともに考えらえるようなものにできたらと考えている。

そうしたプログラムの第1回として、3月9日~17日に実施する予定である。

今所属する組織でこのプログラムを実施するにあたって、私はプログラムの企画・運営を進める立場の1人として関わらせていただいている。

この連載では、浦幌で大学生が学ぶこのプログラムの実施過程で、私を含めた若者が生き生きと学び活動する姿や、その中での気付き、浦幌という次世代に繋ぐ活動を続けてきた町の「学びや挑戦のフィールドとしての可能性」を書いていきたい。どうかよろしくお願いいたします。

この連載について

この連載では、浦幌で大学生が学ぶこのプログラムの実施過程で、私を含めた若者が生き生きと学び活動する姿や、その中での気付き、浦幌という次世代に繋ぐ活動を続けてきた町の「学びや挑戦のフィールドとしての可能性」を書いていきたい。どうかよろしくお願いいたします。

著者紹介

(古賀 詠風)こが えいふう

1996年北海道遠軽町生まれ。北海道大学教育学部で地域での教育や社会教育を学ぶ傍ら、「カタリバ」という対話的活動で高校生への授業運営と大学生への研修を担当。在学中、浦幌町の次世代を想う姿勢に惚れ、大学卒業後の2019 年より浦幌町地域おこし協力隊うらほろスタイル担当として移住。町の中高生が行う地域を舞台とした活動団体「浦幌部」のサポートや社会教育の場づくりなどを行う。3年の任期を終え、事業を連携して行っていた「十勝うらほろ樂舎」に2022年4月より入社。
古家具や器が好き。好みのものに出会うと「かわいい」しか語彙が無くなる。今年は陶器窯に行ってみたい。

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